甘えや、甘えから派生する依存は、地味に怖いところがあります。

この怖さとは、軽視はできない、操られる、とんでもない展開になる、後味がわるい、人を巻き込んでいくといった、ドラマ的な怖さです。

 

災害や事故、犯罪やテロなど、表立って破壊する力はありませんが、こじれたり、ねじれるといった不具合、不機能を生じさせます。

 

甘えの巻き込みは、人間関係に起こりますので、相手そのものを破壊(物理的に傷つける)ことはせず、「関係をおかしくする」のが特徴です。

 

甘えの巻き込みに引っかかると・・・

 

初期、中期では、関係がわるくなる、不信感がつのる、誰が味方か敵かわからなくなる、喧嘩や争いが起こり始める。

 

中期から後期にかけて、関係を断つ、縁を切る、大嫌いになる、許せなくなる・・・となります。

許せなくなると、うっかり破壊を起こしそうですが、張本人の甘えのエネルギーはほぼそれを望みませんので(甘えの対象がいなくなるため)人の肉体を傷つけることはほぼなく、所有物などを害するに留まります。

 

そして、甘えを発する張本人は、悪者にならず同情や同調を引きます。

そのあたりは大変アタマがよく、言葉も行動も賢明に立ち回ります。

相手のことをよく観察し、甘えてよろしいツボを心得ています。

 

 

甘えの張本人の特徴をまとめると・・・

 

初期では、ひっそりと何気なく近寄ってきます。

相手の様子を伺っており、甘えるチャンス(スキ)があるか適度な距離をおきながら、「甘えの本質」となるエピソードを、サラッと話したり残していきます。

いきなり甘えてはきませんが、特徴としては、相手との関係を懐かしがったり、昔話をしたり、相手の話をちゃんと聞いたりしながら、自分の甘えたい本質にかかわる話をします。

 

中期では、さらに甘えを稼ごうとします。

このあたりの鍵となるセリフは「ここだけの話」「あなたにしか話していない」または「話す人がいない」「ここだけの話にしておいてください」

 

などです。秘密をつくる時点で怪しいのです。

 

秘密にしたがる人は、ここでご紹介するほどヘビーでなくても、とかく甘えの力で巻きこむ要素をもっています。

巻き込まれると苦しくなるので、おすすめはしませんが、苦しみの性分やいわゆる苦労性の方は、つい反応してしまいがちです。(頭では望まなくても、苦労性気質が反応してしまう、という具合です)

 

話を戻します。

 

後期になると、甘え目的を果たす行動がエスカレートしていきます。

巻きこんだ人たちや状況を活用し、甘えの本質を求めている相手から愛を求めていきます。

 

この甘えに転嫁した愛は、幼い愛です。

 

幼い愛を、さまざまなカタチや方法で得ようとします。

子供っぽいやり方ですが、それゆえに幼く、未熟ともいえる愛と申しましょうか・・・

 

よくあるのは、

 

・周りの人たちと仲を悪くさせて疎遠関係つくり、自分が独占しようとする。

・幼い愛を得るために、あれこれ噂話や人の話、過去のエピソードを言い続ける。洗脳も含む。

 

幼い愛は、ここぞとなると全く疲れない子供みたいなところがあり、目的を達成するまですごいパワーを発します!しつこいです。

 

幼い愛を求めるゆえんは、ここまでの人生で自律するチャンスがなく、本当に幼いままどうしたらよいのかわからず、結果的に幼い方法で巻き込むようなやり方になります。

 

大人の考え方や、教育などの方法で諭しても、ほとんど難しいのが特徴です。

 

理解しても、実質的に足りていない愛は、愛の代償を求めるます。

自律を育む愛は、ほとんど幼少期に必要なものですから、後天的に得るには、かなり難しいと思われます。

 

何事もまったくゼロではないでしょうが。

 

幼い愛を欲するがゆえの甘えは、おおむね”大事な時期”の親子、母子関係に起因します。

当時の親御さん側が本当に愛情をかけなかったかはわかりません。

 

ただ、幼い子供側としては、十分なかったと認識します。

 

 

時代や当時の家族の諸事情、大人になればわかることも子供にとってわかるよう理解されていなかった、誤解などもよくあります。

 

その後親元にずっといるケースもありますが、あえて距離を置いたり、縁を切るように避けたり、死別などの事情で愛は満たされないままのことが多いです。

 

今の生活、結婚をされているなら今の家族との関係は、幼い愛を満たすものとは別です。

 

 

突然親戚がちょくちょくと話にくるようになり、連絡が頻繁になるうちに、その親戚の家の中が大変なことになっていると相談され、適度にアドバイスや励ましをしてきたというKさん。

少なからず、甘えや頼ってきていることは感じており、あまり巻き込まれないようにはしていたようです。

結果的にKさんだけでなく、Kさんのほかの身内や家族も別々に巻き込まれていき、短期間のうちに、お互いの連絡先を消すような事態になりました。

 

事が収束してから、

「どうしてこうなったのか?これからこの問題は大丈夫なのか?もうこれだけのことがあってこちらから一切連絡はしませんが・・・」

 

と確認するかのようにご相談されました。

 

この親戚の甘えを持った方は、最近になり自律のチャンスがあり、そのことでご本人の内面に大きな葛藤が起こったようです。

その葛藤は、結果的に身内の騒動を起こすことで、代替的にスッキリした感はあります

 

とかく、幼い愛を求めるところの「甘えの巻き込み」に遭遇するクライアントさんのほうは、大人ですからセラピーやカウンセリングにいらっしゃり、このような構造が判明すれば、一件落着です。

 

しかし、幼い愛を求める側の方は、そのことで自律的にセラピーやカウンセリングにいらっしゃることは少ないことでしょう。

問題を解決することやご自身が変わることでもなく、幼い愛を得ることが最優先です。

 

甘えの巻き込みに反応してくれそうなセラピストやカウンセラーを見つけたら・・・そのとおりです、巻き込むでしょう。

甘えの通用しない相手とわかれば去っていったり、相手をわるく言ったり思ったりして、距離をおきます。

 

このコラムを書いており、懐かしいケースを思い出します。

開業して3年目だったか、水天宮のオフィスにいた頃です。

 

お母様を”連れて”20才くらいのご本人がセラピーにいらっしゃいました。

具体的なご相談内容は忘れましたが、ヒプノセラピーを体験していただき、その場では「スッキリしました」と帰られました。

 

その翌日、お母様からお電話があり、

「昨日はありがとうございました。娘がお話ししたいことがあるそうで・・・」

とお電話を代わりました。

 

最初は何を言わんとするかわかりにくかったのですが、要約すると

自分の問題はもっと深いもので、そんなに簡単に楽にならない」と本意を遠回しに伝えてきているのが感じられました。

まとめると、お母様と一緒にセラピーに来て自分が困っている状況をお母様に共感してもらうことを求めていると言えそうでした。

 

となると、当時は、問題は解決すべき!と掲げていたものですから(ソリューションだけに)うちではないことをお伝えしました。

 

実質的な時間、ゆとりをもってゆっくり変えていくのは、ときに必要なプロセスですし、相応な時間をかけて至った問題は、急に直ってしまうとバランスが取れません。

慢性化やゆっくり故障にいたった体の症状も、急に治らないのは、その要領なのですね。

 

身近な人物であれ、友人知人であれ、甘えさせて巻き込まれてあげることは、ご自身も巻き込まれて苦しくなるだけでなく、ご本人のためになりません。

こちらが自律しておくこと、必要以上にかかわらず放っておくことなどが、結果的に時を経てなんとかなります。

しかも、かなり意外な方法で、創造的な展開になるでしょう。

 

幼いといっても、見かけや他のことはしっかり大人ですから、そこが難しいところでしょう。

幼い甘えを抱えている人は、依存物(治療目的の薬も含め)、依存的な習慣、代償行為としての不倫、金銭問題としても体現する可能性が高いようです。

もっとも、誰しも多少は幼い甘えを持っているように感じますから・・・ほどほどに、ですね。

 

流れ星[志麻ひぷのTIMES]流れ星

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