親の立場から、子供の立場から、パートナーの立場から・・・
近しい家族を思ってのご相談はとても多いのです。
昨今は、ご相談をしているご本人も、
「実は自分が相手や家族のことで困っているから、相談に来ている」
という観点を理解されている方が増えました。
ひと昔前は、相手のことを思っているつもりで、実のところ自分のことを心配していることに全く自覚ないケースが主流でした。
誰しも自分自身のことになると思い込みに気づかず、悩んだり、問題視しがちですね。
下半期リーデイングで家族経営の商売についてご相談されたKさん。
社長である肝心の父親が、まるで他人事のように経営に対して積極的でないというのです。
Kさんは、父親の態度を改めてもらいたく、いろいろ助言をしたり自ら会社のために仕事をしてきました。
そして、距離が近づきすぎると感情が爆発して、本意ではないはずの口論になり、あとからいやなお気持ちになるそうです。
たまに実家に帰ると、家族の問題に直面し、よかれと思っていろいろ気を遣ってきたNさん。
それでも、少し長めに実家にとどまると、心の中で我慢していたものが溢れて辛くなるそうです。
KさんもNさんも、そして似たような事情のある方々に共通しているのは、愛情ゆえに「相手にこうなってほしい」という期待です。
「人は変えようと思っても変わらないよ」
「相手を変えたかったら、まず自分が変わらないと」
そんな話は、しばしば見聞きしたことがあるでしょう。
これ、他人のことならわかりますが、渦中にいると難易度は高めです。
先のKさんのリーディングでは、
おなじみの「北風と太陽」(イソップ寓話)のメタファが浮かびあがってきました。
つまり、ある種の普遍的な真理です。
旅人のコートを脱がせようと、北風と太陽が競うお話です。
北風はゴーゴーと風を吹き付けることで、かえって旅人はコートを取られまいと抱え込みます。
太陽は暖かい日差しを旅人に照らすことで、暑くなった旅人は自然にコートを脱ぎます。
近しい人(身内に限らず、友人、恋人、仕事の人間関係etc)に対しては、つい北風のように振舞ってしまい、まるで意図が伝わらなかったり、むしろ反駁されることが多いものです。
「相手にこうなってほしい」と思って向き合うことと、「相手そのまま」に向き合うことは、似て非なるものです。
言葉で理解しようとすると、ややこしいですね!
北風の役は「相手にこうなってほしい」と相手側にパワーを送っています。
送ったパワーが跳ね返ってきて、抵抗が起こります。
〈変な絵netより〉
太陽の役は「相手にそのまま」向かっているので、太陽自身のパワーをただ発揮しているのです。
発揮したパワーに対して、相手が自ら呼応しています。
〈変な絵netより〉
自然に太陽タイプのあり方で振舞っている人は、そうしていることに自覚がない可能性もあります。
寓話から、身の回りの人間関係で思うとおりゆかないとき、「太陽」のアプローチを思い出してみるとよいかもしれません。
太陽のように明るい人は、誰かに向かって明るく笑顔でいるわけではなく、本人が明るくニコニコしたくなるフィーリングでいるからです。
周りを喜ばせよう、周りから好かれようと明るくニコニコしていると、かえって違和感や無理が伝わっていきます。
なお、自然界では、太陽は太陽系の惑星ですが、風は太陽の影響を受けて地球上に起こる現象です。
そもそも対等に競いようがないと思いますが(笑)