Tさんは諸々のご相談の最中に、22才になる娘さんの交際相手について、気がかりだと話されました。娘さんは以前交際した相手と別れ話になった際、自殺未遂をした経緯がありました。それもあって、Tさんは、今、娘が真剣になっている相手は信用できるのかしら・・・と心配な様子。
さて、Tさんが忠告したり、詮索すると、娘側はハナから否定されているような気分になり、嫌がるそうです。
基本的に母娘の仲はよいのですが、この手の話になると、どうも扱いが難しいと。
ところで、Tさんにはバツ2の経歴があり、最初の夫との間に授かったのが、この娘さんでした。2才のときに別れてから、娘さんは一回も父親(夫)に会っていないそうです。
Tさんは、「娘が父親に会うことは否定していない」と言います。
「これまでも、ときどき娘には『お父さんに会いたかったら会いに行っていいのよ』と言ってるんですが、娘のほうが『いいよ(否)』って、嫌がるんですよ』とのこと。
実はこれ、娘からすると、お母さんの「会いに行っていいのよ」は「会いに行ったらダメよ」に聴こえています。
もし本当に会いに行ったら、母親がそれを気にしたり、嫌がると、気を遣ってきています。今はともかく、娘側が子供の頃にインプットした「情報」としては、自分の取る行動が母親に影響を与えることを、学習しています。
このような言外の禁止的なメッセージは、とかく親子の会話には多々含まれているものです。
「好きにしていい」→「好きなことしたら身勝手だからね」
「おまえのことを思っているんだよ」→「だから言うことを聞かないとダメだよ」
などと、解釈されます。
このような解釈的な会話の多い環境が続くと、社会生活上関わる他人や、友人、カップル間での会話も、このように言外の意味合いや、相手のホンネを気にするようになります。
そして、自分のほうも正直に相手に伝えることができず、言葉に含みをもたせて相手に伝える習慣がついてしまいます。
もし、自分が正直にモノを言えていないことに気づいたら、正直に素直に伝えるよう心がけると、わかりやすいコミュニケーションがとれるようになるでしょう。
「正直に、ハッキリ相手に言ったら、否定された!」という経験があるとしたら、自分側のホンネと言葉にギャップがあったのかもしれません。
または、「否定された!」と感じたことは、相手も自分の意見を主張しただけなのかもしれません。
The Mouth of Truth 真実の口 画像:wikipediaより