不妊で悩む女性、カップルが、カウンセリングやセラピーを受けにみえることは、意外に多いのです。
なかなか授からないと心配しています。
すでに不妊治療をしているケースも多い時代ですね。
Yさんは、いわゆるキャリウーマンで、結婚後に不妊治療を受け、2度の流産をこえて、ようやく授かることができました。今、妊娠3ヶ月余りで、仕事についてのご相談でした。
「妊娠をきっかけに、このまま退職したほうがよいでしょうか?それとも、産休があるのでギリギリまで働いて、復帰したほうがいいんでしょうかね?」と。
しかし、その口ぶりは、退職したそうなのです。特に近年職場は異常に忙しく、本当は辞めたいのだけど、何か大義名分が必要だと言います。それが、ちょうど「妊娠、出産」でよいきっかけ、口実になります、と。
不思議なほどに、赤ちゃんを授かった喜びや感動よりも、仕事におけるご自分の立場、アイデンティティ、将来にこだわっておられます。
Yさんにとって、母親になって子供を持つことは女の仕事であり、それを果たさなければ仕事を果たしていないような気がしてきました。子供をしっかり育てるには、この忙しい職場では無理だし、と。
一方で、妊娠したことは、夫も両親も喜んでいてホッとしているが、職場の男性たちに対しては、自分がハンディを負っているように感じているそうです。
それもあって、出産後に赤ちゃんを職場に連れてくるようなことは、自分はしたくないし、これまで職場に小さな子供を見せにくる同僚の女性には、非常識だわ、という気持ちを持ってきました。
そんな葛藤が、今のYさんに、出産をきっかけに、仕事を辞めるかどうかを悩ませていたようです。
ところで、「女性エネルギー」「男性エネルギー」は、男女ともに両方持ちそなえています。
外観が女らしくみえても、内面に男性エネルギーの強い人も多いですし、その逆もしかり。
男っぽい男性が、意外に感性が豊かで、女性エネルギーの多い人もいますね。
さて、Yさんは、男性エネルギーの強さで、これまで仕事をこなしてきました。子供を持つ使命感の強さも男性エネルギーによるものです。
だから、合理的、常識的に考えようと、自分自身に厳しくもあります。
対して、もう少し流れや情緒に任せることは、この場合、女性エネルギーの強化になります。
私の見る限り、臨床ケースでは、男性エネルギーが強い女性ほど、不妊症の悩みが多いものです。
ところで、Yさんの職場の方たちは、むしろ家庭的で仲間意識が強く、出産してもYさんには仕事に復帰してほしい様子が伺えました。また、ご主人はいわゆる育メン。子育てもかなり引き受けてくれそう。
なにより、このようにYさんが男性的に出産、仕事のことを悩めば悩むほど、おなかの赤ちゃんには厳しい環境になりそうに感じられました。
「なるようになる」と生まれてくる生命を感じているほうが、母子ともに安全なようすが伺えました。過度な義務感や責任感は、女性エネルギーにマイナスです。
何より、女性エネルギー(情緒)をたくさん持っていても、男性エネルギーが減るわけではないのですから、両方のよいとこ取りをしていくと、適宜進めていけるものです。
「女性エネルギーとか母性を持っても、男性的なエネルギーは減らないんですね!両方しっかり持っててもいいですね!」とYさんは安心、納得していらっしゃいました。
そこがちょっと男性的ですが・・・(笑)