ここ最近、ご夫婦や家族に関するご相談に、共通のテーマがありました。
例えば、夫から今までにないぐらい辛い態度をとられた・・・
暴言、物の投げる、暴力、無視、外泊、急にあり得ない仕打ちを受けている・・・・
子供が全く自分の言うことを聞かなくなった・・・・
Mさんは、車からラブホテルのカードキーが出てきたことから、夫に不信感を持ち、問いただしたといいます。このとき、Mさんは夫をとても愛しているので、ケンカにならないよう、自分の感情を抑えて夫に尋ねました。夫は、「それは先輩から預けられたんだ」と言い、Mさんは釈然としないものの、その場を納めたそうです。
それ以来、急に夫のMさんに対する態度が変わりました。横柄な態度、物を投げる、不機嫌になると八つ当たりする、そしてついてMさんと取っ組み合いのケンカになり、投げ飛ばされて、身の危険を感じたMさんは、義理の両親の家に避難しました。
幸い、義理の両親、特に義母とは気が合い、夫婦のことも話せる関係で救われていました。
しかし、Mさんとしては、謎が深まるばかり。今までとても仲がよかったし、同棲時代にも、夫からはそんな横暴さは伺えなかったそうです。
透視カウンセリングを含めて、Mさんの状況をリーディングしたり、セラピーをしていくうちに、Mさんは夫の母親と非常によく似ているところがありました。
それは、相手を思いやり、おおごとにしないよう、物事を穏便にしようと常に気を遣うというところです。
そして、夫(母親からすれば息子)が問題を起こしても、なるべくたしなめようとしてきました。よい妻、よい母であり続けようと。またそれは良いことに違いないのだと信じていました。
皮肉にもこの心がけが火に油を注ぐことになっていました。
途中経過は飛ばしますが、ようはMさん自身が、もっと自分の本音や感情を優先してよいわけです。
Mさんがあるがままの自分に正直であることが、夫や身近な人にとっても、楽で正直で優しい状態にあります。
Mさんのようなケースをみると、相手や周囲からみて「よい状態」であることにこだわりがあります。
本音やあるがままの状態ではなく、「よい状態」(これもひとつの価値観)でなければいけないのです。
逆にいえば、「よい状態」でないと認められない、受け容れられないともいえます。条件を満たしていないと、愛してもらえないわけです。
例えば、親が子供に対して「勉強ができなければ、よい子ではない」といった態度が、子供からすると、勉強ができれば、受入れてくれる、愛してくれる、と解釈するわけです。
家族やパートナーのように身近な人は、こうした無意識のうちの「存在価値のテーマ」を、Mさんのような内面を投影して、思い切りぶつけてきます。
Mさんは、とても人当たりがよく、こうしてご相談を受けていても、セラピストにさえ気を遣って、よいクライアントになってくれようとしていました。
Mさんは「夫とのこと、どうしたら私はいいんでしょう?また仲良くなれるでしょうか?」と。
そのときに出てきたメッセージが・・・・
☆自分を大好きになってくださいね☆
その意味を一番よくわかっているのはMさん自身でした。
「私、自分のことがきらいなんですよね」
「子供の頃から、周りで何か問題が起こると『自分のせいじゃないのかな』と思ってしまうんですよ」と。
そう感じるのは、インナーチャイルドの課題、育ってきた環境のなかで培ってきた自分を守るスキルですね。これまで無意識にやっていたことで、このカラクリがわかると、Mさんはスルスルと自分の在り方を変えていけそうでした。
その後、Mさんからご連絡があり、「まだ夫とは、ちゃんと向き合った会話はできませんが、メールはよくするようになりました。私も本音を書けるようになってきました・・・少しづつ楽になっていきそうかも、って思います。」と。
Mさんが変わっていくと、ご主人とのコミュニケーション、関係もよい方向に向かっていきそうでした。
自分自身を否定する、嫌いである、罪悪感が強い、といった無意識の態度は、DV(ドメスティック・バイロレンス)にもしばしば潜んでいます。