人の心は、本当に心底困っているとき、苦しいときには、他人に助けを求めないものです。
求める余裕すらない、とも言えますね。
今も、昔も、クライアントは困っている最中には、なかなかセラピーを受けには来ません。
「大変なんですぅ〜、どうしたらいいでしょう!!」
「もうどうしようもない状態が続いているんです。もうずっと長いです」
そういう方ほど、日々の現実はそれなりに生活できています。
もっと悪いことになったらどうしよう。このままでいいのかしら?
と、「困ってしまうかもしれない」仮想現実を作っています。
過去の苦労話を、あたかも今しているかのように、相談される方もいます。
場合によっては、これまでの大変な状態に全く気付いておらず、それが爆発したとき=転機がやってきて、人に相談する段階になることもあります。
つまり、セラピーは、「現実」を変えたりいじるのではなく、心のあり方や気(精神)の持ちように変化、刺激、癒しなどを施すものです。
長年、過去の失敗や苦労にこだわっていると、心のあり方はすっかり辟易しているものです。
皮肉なもので、今、本当に現実が困っている方に対して、セラピーの出番はないのかもしれません。
現実がどうしようもない、あるいは何かを越え始めたとき、人は内なる世界に目を向けざるを得ないようです。