社会復帰 Rehabilitation

長らく精神的な疾患を患っていたり、特定施設で更生を終えた後に、社会復帰を目指す人がいます。
多くの場合、復帰すべき「社会」の空気や制約感になじめない、強烈なストレスや違和感があったために
発症したり、犯罪行為に及んだことでしょう。
しかし、治療や更生後は、なぜか元の「社会」にそのまま戻そうとします。
そもそも本人は、発症した理由や行動に出た理由を知っていますが、それは周囲に理解されないまま
施術と時間を経て、復帰を望まれるのです。

「社会」に戻すことが回復や更生とは限りません。
個人の体質や気質を尊重して、復帰する場所や時期を考えなければ、結局元に戻ってしまいます。
働きすぎの人が倒れて完治しても、根本を改善せずに復帰すれば、再発するでしょう。
犯罪を犯した経緯を改善していなければ、必然的に繰り返します。

受験のストレスでパニック症になったKさんのご両親は、入院治療を終えた後も、どの進路に進むべきか
執拗に子供の将来を悩んでいました。
親の懸命な愛情がわかるだけに、Kさんの心はまた葛藤を引き起こします。

Yさんは、夫や家族が望む社会復帰をしようと、以前勤めていた会社に復職しました。
Yさんにとっての社会復帰は、組織で仕事をすることではなく、家族から自由な環境にいることでした。
夫や家族には愛情があるものの、Yさんが社会復帰してくれないと自分たちが困るのです。