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必要にして十分な関係 Enough and Necessary Relationships

Nさんは10年来の不倫関係にどう折り合いをつけるかと、ご相談にみえました。彼はかなり年上で、出会ったときには家庭がありました。やがて歳月が流れ、Nさんには周りから縁談の話がはいってきたのです。
長期にわたる不倫関係は、ゆくゆく何とかしなければ、何とかなるだろう、と漠然と期待したり悩んでいるものです。意外にそのような関係を持っている人はいます。ほとんど場合は、お互い、あるいはどちらかが消耗していきます。依存していたり、何かからの逃避が二人の関係をつないでいるときです。
しかし、Nさんたちの場合、お互いが豊かになったり、辛いときに助けあえる関係になっていました。Nさんが若いうちに父親を亡くしたときに支えてくれたのは彼だったと言います。彼のほうは、責任と期待がかかる仕事をしており、Nさんの存在で乗り切れたことがおおいにありました。女性からみれば男のエゴですが(苦笑)、本妻を大事にする気持も本当だし、Nさんへの愛情もどうやらホンモノ。
面白いことに、この二人が仮に夫婦になっていたら、同じ質で求め合えたのかは微妙です。世間ではタブーなことですが、ある意味、これまでの二人には必要にして十分な関係。
結局、今すぐにはNさんが彼と別れ決定要因は見当たりません。表沙汰にできないぶん、幸せの幻影のような存在。
将来的には、Nさん自身ができることをやるなかで、彼との関係が自然に変わっていくかもしれません。

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